現在、[S-methyl-11C]-L-methionine (11C-L-Met) が脳腫瘍をはじめとしたPET薬剤として臨床応用されています。一方で、天然アミノ酸は代謝を受けるため、11C-L-Metの有用性が低い場合があり、特に代表的な代謝性組織である肝臓への集積が高く体積も大きいため、肝腫瘍および肝近傍の小病変は一般に診断困難とされています。そこで、一般に酵素的代謝に対する安定性を示すD-体を利用することにより、代謝性組織への生理的集積が抑えられることが期待できるため、D-methionineの腫瘍細胞内への輸送機序の解明、および担癌マウスを用いた体内分布実験などにより腫瘍診断薬として有用性を評価しています。